ふたばの日記

高等教育や学術政策に関心がある大学生のブログです。考えたことのメモなど。

国内外の大学における職員/教員比率

 私は、昨日の記事(「河野太郎の大学の悩み聞きます@東京大学五月祭」に関する考察 - ふたばの日記)のなかで、国内外の大学における教員、職員とアカデミック・スタッフの比率についての比較のデータを取り上げた。そこでは日本の大学としては東京大学のみが含まれていた。しかし、一般的に東京大学は日本の大学のなかでは外れ値と捉えた方が適切であろうから、より多くの大学を比較することで日本の大学一般の状況を検討する必要があると思われる。そこで今回は、日本の国公私立の有力大学について、データの比較を行ってみることにする。(なお、先日手に入れた東洋経済の増刊号のデータを使ってみたかっただけでもあるww)

 なお、先に注意を払っておくが、以下に提示したデータのみでは精緻な解釈をすることは不可能である。下で利用したデータは専任教員数と専任職員数(と学生数)であるが、そもそもこれらの内訳には大学毎あるいは国によって差異があるだろうし(だから国際比較は難しい…)、非専任教員やアカデミック・スタッフは含まれていない。したがって、あくまで参考のデータに過ぎない。

1.元にするデータについて

 今回、国内大学については、東洋経済新報社[2017]『週刊東洋経済臨時増刊「本当に強い大学2017」』の学生数、教員数、職員数のデータを利用した。これらのデータは、「2016年5月現在。数字は大学単体ベース。学生数…は大学院生を含む(受け入れ留学生、研究生、聴講生は除く)。…教員数は助教以上の専任教員、職員は専任で派遣を含まず」となっている。なお取り上げる大学については、国公私立の大学それぞれについて、筆者の恣意的な基準で有力大学だと思われるところを選定した。

 海外大学については、前回利用した東京大学国際連携本部国際企画部[2007]「世界の有力大学の国際化の動向調査報告書」のデータを用いた。東京大学に関して、2015年の集計したデータと東洋経済の2016年のデータを突き合わせたところ、東洋経済における教員数、職員数はそれぞれ東京大学の報告書における専任教員、専任職員に該当すると判断し、そのように処理している(年度の違うデータを利用しているので、適合していない可能性もある)。したがって、今回の職員/教員比率は、非専任も含まれていた前回の記事内の表における職員/教員比率とは少々値が異なっている。ただし、概ねその値は一致しているため、比較には一定の意義があるだろう。なお、この海外大学のデータは東洋経済の国内大学のデータよりも10年ほど前のデータになるので、現在ではその値が変化している可能性も当然ある。

2.結果

f:id:futaba_szk:20170523125539j:plain 表1:国内外大学教員・職員・学生数
出典:国内大学は東洋経済新報社[2017]『週刊東洋経済臨時増刊「本当に強い大学2017」』、海外大学は東京大学国際連携本部国際企画部[2007]「世界の有力大学の国際化の動向調査報告書」、pp. 67-68、より筆者作成

f:id:futaba_szk:20170523123515j:plain 図1:国内外大学職員/教員比率
出典:同上

 全体として、設置区分、医学部の有無によって傾向が読み取れる。設置区分は財政的な余裕を示しており、医学部の有無は、医学部(病院)には比較的職員が配置されやすいということを示しているのだろう。個別に見ると、横浜市立大学が著しく高い職員/教員比率を示しているが、これは小規模かつ医学部を持つ大学であるからという外れ値と見るべきか。概して国立大学では1.0~1.5程度、私立大学では0.5~0.9程度になっている。

 海外の大学では、米国の大学の数値の大きさが極めて顕著である。医学部のないUCBでも5.0近くとなっているのは、気になる点である。

3.最後に

 冒頭でも指摘したが、そもそも用語の定義が統一されているとは考え難く、またアカデミック・スタッフの存在や、非正規の教員/職員の存在も考えると、上記のデータで精緻な解釈をすることは難しい。また、医学部の有無によって教職員のあり方は大きく変わってくると思うため、例えば病院職員を抜いて比較することなども必要かもしれない。

 とはいえ、教員と職員の比率を考えるという、国内大学だけを見ていてはあまり気を払わないかもしれない点について、目を向けてより深く考えていく一助にしてもらえれば幸いに思う。